ほっぺはまだやわらかく、あたたかく

…何も、あたいの知ったこっちゃないなんて返事じゃなくても、ジェームスが失神してるスタンプでも返しとけばよかったんだ…あの時、私はへとへとで、家に帰るのに、バスも微妙だし、この距離、歩かない人いないよな、でも自分がへとへとなら乗ってもいいんじゃない?どうしよう…と、もんもんとしてたから、ロンリーデイって言われて、そのもんもんが爆発してしまった。

普通の関係はもうやっぱり築けないんだろう。何を言われても、自分が責められてる気持ちになるから、一瞬で、深海まで、高速エレベーターで落ちるみたいになる。普通の人として、いや、ただの人としても扱ってもらえなかったこと、脳みそのどこかがずっと覚えてて、怖いのかな。

久しぶりに、アトレに行ったら、色々が変わっていた。ユニクロが大きくなって、キッズ商品も売るようになっていた。いつ行っても芋荒い。みんなユニクロ大好き。私も着るけど、なんかこんなのおかしい。老若男女、みんな同じ服、同じ肌着。

大事な人は、人生が変わる直前にいる。そして、その変わる前の最後に立ち会った。こんなに早く成長するなんて知らなかったから、明日は永遠にあると思って、あの約束もこの約束も、また今度ねって、何度も何度も断った。でも、これからは一緒に、BMにも原宿に行くことも星のテラスに行くことも、もうそんなに機会はない。

小さい手で、私の指をにぎってくれた。最初のぬいぐるみはウッドストックだった。髪の毛が、全部立って、パイナップルみたいな時や、首のお肉が幾重にも重なって、一番奥がくさくさだったりした。肩車して、首をひねった。アンパンマンや肉まんの顔真似を延々とやってくれた。家に帰るときは、車の中で大声で泣いてた。電話でしりとりをした。赤ちゃん椅子から、バク転して落ちていった。

幼稚園に入り、小学校に入り、中学校に入り、高校に入り、大学に入り、会社に入り、もう全然赤ちゃんじゃなくなった。もう、ゆみちゃん、ゆみちゃん、と私の後を追いかけてこなくなった。

私の10倍は大人な、しっかりとした女性になった。

いつもみたいに話をして、パスタとキッシュを食べて、取っ手のついてないカフェオレボウルで紅茶を飲み合った。もう、アンパンマンりんごジュースを彼女は飲まない。

駅の改札で別れる時、久しぶりにほっぺを触らせてもらった。あの頃みたいに、まだほかほかふかふかもちもちやわらかくて、つい泣いてしまった。大きくなったね、と、言うと、彼女は、いままで遊んでくれてありがとうと言った。

妹が結婚した時は、一滴も涙を流さなかった、鬼の姉の私が、いとこになるとこうなっちゃうのは、なんでだろう。歳が離れてるからかな。

とにかく、彼女には幸せでいて欲しい。私みたいな修羅場は一生経験しませんように。水子も1人も持ちませんように。旦那さんが性病を持ってきませんように。旦那さんに唾吐かれませんように。旦那さんが彼女の友達を好きになりませんように。

神様、お願いいたします。

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