綿 in a stuffed brooch

おちょぼ口 

私の母は、お出かけして、デパートで買い物、レストランでごはん、喫茶店でコーヒーするのが大好きです。でも、一人じゃ楽しめないんです。誰かと一緒じゃないとだめなんです。

以前は、祖母とべったり、気持ち悪いほどいつも一緒で、買う服も、彼女のGOサインが出ないと、自分で選べないくらいの優柔不断です。でも、祖母が認知症になってしまい(どっちにしろ、もう90歳を過ぎています…)、それが叶わなくなってしまった。そのタイミングで、長女の私ことゆみちゃんが出戻りという名の凱旋帰国を果たしたため、彼女は、毎週でも、私と銀座でも渋谷でも、華やかなハンカガイなら、どこにでも行きたいんです。

しかし、私は、その、ええと、病気なんです…目に見えないですけど、脳みそがイカれてしまっていて、たくさんの薬で、なんとかフツーの人に見えるように、お医者さんが工夫をしてくれ、毎日を過ごしている身です。それでも、一ヶ月、微熱OHが続き、背中は激痛で、ベッドから布団を伝ってじゃなくじゃ降りられないようなどん底ライフ(1度は、本気で間違えて、床にドシーンと落ちてしまい、本気で痛かったです。しばらく床にうつぶせになって、ああ、床、ひんやりしてて気持ちいい♡なんて恍惚としていました…)

両親も、その熱が出て、ゾンビのような姿になって、アイス枕や、パピコを台所まで取りに来る娘の姿は見ています。私がどっから見ても元気満々じゃないのは、誰だって、わかるでしょう。

明日は、31℃だそうです。そんな中、ゆみちゃ〜ん、大井町のあそこ行こっ😉と、一週間くらい前から、もう3回くらい言われて、本当に、親不孝で申し訳ないんですけど、頭が噴火しそうです。

大井町まで、歩けないって、言ってるじゃん…食欲も午後はたいしてないからクッキーモンスターになってるだけで、別にクッキーを四六時中食べたいわけじゃないし…

お願いだよ…明日は、半日かな。だったら、清和と行ってきてよ。昔を思い出して、ラブラブデートして来てよ…私だって、鬱病なんて、落ち武者みたいな病気になりたくてなってるわけじゃないんですよ…真夏のお日様に負けないように、麦わら帽子に、白いノースリーブのワンピースに素足にサンダルで、レースのパラソルくるくるして、まんだらけや神保町に行きたいです。古本屋…骨董市…中古CD屋…古着屋…

でも、品川のあっちとこっちを歩くだけで、もう倒れそうな感じなんです。もう無理なんです。

これ、いつまで続くのかわからず、おそろしく、ぴーすけと、おいおい泣き合いました。その結果、とりあえず内科に助けを求めに行ってみたら、管轄外!と、門前払いされました…

家賃も払わずに住まわせてもらって、恐縮なんですけど、しばらくは、自分のペースで過ごさせてもらいたいんです。放っといてもらいたいんです。だって、誘われて、断ると、その度、罪悪感を感じて、治るものが一向に治りません。

年齢のせいもあるのでしょうが、心の病気が心霊現象じゃないということを、どーしても、いくら説明してもわかってもらえない。というか、母親はまず人の話なんて聞かないんだった。断ると「この間もだめだったじゃない」とか意地悪に言うのもやめてください…

今は、二週にいっぺん、お医者さんのヒデと、カウンセラーさんのタカぴーに会って、話を聞いてもらうのだけが癒しです。彼らは、その道のプロですから…ヒデは、熊川哲也と若き日の前田吟を足して2で割ったような男性です。キリっとしています。前髪は、後ろにあげて、バリっとしています。精神科医なのに、手術するお医者さんみたいな紺の上っ張りをいつも着ています。

タカぴーは、ふんわり、おっとりしていますが、バンドをやっていて、音楽が好き、フェスが好きな、私より、うーん…5個くらいは年下の男性です。控えめなファッションがとてもおしゃれで、私が最初に、彼にカウンセリングを頼もうと思った直接のきっかけは、彼がフィッシャーマンズセーターを着ていたからで、それが、理由の80%でした。

夏は、ギャルソンやワイズのポロシャツをだいたいお召しになっていて、たいていワントーンコーデです。靴下だけ真っ赤などという、私の大嫌いなハッピーソックスもしていなくて、素晴らしいです。私も、今は2or1しか、服に色を使いたくないので、そこからもものすごく信用できます。

そして、一番好きなバンドはなんですか?とお会計の時に聞いたら、ええと、二つの外国のバンドの後に、クラムボンがお好きとおっしゃいました。信用度がさらにアップした上、先週、私が、バイタルサインが一番好きですと言うと、彼も、僕もそうかな〜と言いました。「この人は大丈夫すぎる」度が、ますます上がりました。

洋服も音楽も、やっぱり、私はこういう人間です、ということを表明するのに、とっても大事な要素だなとしみじみ思います。言葉で説明したってよくわからないですけど、その二つからなら(あ、映画や小説もいいですね)あ!と、すぐにわかります、どんなタイプの人なのか。

あの人たちは、商売相手が、全てメンヘラなわけで、1日に会って喋る人は、健康な心の人より、メンヘラの方が多いわけで、なんか壮絶だな…すごい仕事だなと尊敬します。