のりピーの叫びにうなづくくるみ

くるみは、自分の持っている700冊の昔の少女漫画のうち、何冊の中の、ガールズとボーイズが、今なら、ストーカー規制法に引っかかり、しょっぴかれていくのかなと、夏も終わりゆく、晴れた日曜日、ベッドで仰向けになって、自転車漕ぎの体操をしながら、ふと思う。

まあ、半数はいくかな。

通学路で待ち伏せ。手編みのセーターの一方的なプレゼント。家に帰宅すると、隣に住む幼なじみ(異性)が自分のベッドで昼寝してる、放課後、教室の4階の窓から帰って行く佐村河内くんをじっと見つめている。窓が変な音を立てるので開けてみると、クラスメイト(ぶす)が小石を投げ続けている。やっちんが先によっちんを好きだったのに、取っちゃった。

あ、最後は違うか。ストーカーではないな。

くるみは腹筋の力でベッドから飛び起き、こたつに行き、爽健美茶をごくごくと飲み、鯛焼きをかじる。

普段はつけないテレビをつける。暗いニュースを聞く。

私たち、寿命を全うできるかな。認知症になるなんて贅沢なところまで生きられるのかな。明日、一気に国民みんなで死んじゃったりして。

すると、やっぱり、思い残しはないようにしないと。きもいとか、うざいとか、きらいとか、そういう風に思われることを、おそれていたら、天国か地獄かわからないけれど、死んだあとに、後悔後悔の日々を送るんだろうなあ。

ほら、おめでたいニュースが始まるとこなのに、こんな最低なニュースに茶々入れられてるよ。ひどいなあ。ひどいよ。でも、マッターホーンのバウムクーヘンはおいしいよ。チョコパフェも、あそこのは筒の部分は全部な生クリームだから、生クリーム好きにはたまらないよ。コーンフレークなんて、ちんけなもの入ってないの、ほんとにかっこいい。

と、くるみは味覚に異変を感じている、去年の九月からだ。

あんなに大好きだった、生クリーム、及び、ケーキにアイスが、まったく素敵な食べ物に感じなくなってしまった。それまでに食べ過ぎて、飽きてしまったのだろうか。それらがないと、コーヒーを飲む時の、お茶請けに困る。くるみは、しょっぱいおやつは食べない主義だからだ。

すると、鯛焼きに今川焼は、強い存在だ。

でも、どうしてだろう。

体重が減らない。全然戻らない。抗うつ剤が、代謝を悪くするからだそうだ。

サイズは0だった。XXSだった。二十歳まで40キロに届いたことなかったのに、ほぼ60キロにまで増えた。今は、それよりはましになったけど、50キロから下に戻らない。ユニクロのゴムのズボン、Lでも微妙だ。

許せない。この虐めをどうしてくれるの。

くるみは、法子の気持ちがわかる。これは虐めだ。ただでさえ、心が傷ついてるのに、体まで醜くなるなんて、最低すぎる。

さらにファックなのは、その薬をやめたって、体型は簡単に戻らないことだ。

ただでさえ、顔も心も落第してるのに、体もなの?

この絶望のやり場はどこにもなく、くるみは昔の少女漫画を読みふける。それは、ファンタジーだから。誰をもが、誰もを傷つけない。守られている。守られる。